岸見一郎著「アドラーをじっくり読む」にさらっと目を通した。ベストセラー「嫌われる勇気」、「幸せになる勇気」本の著者であり、その著者の最新刊と思う。まえがきのサブタイトルに、誤解だらけのアドラー心理学とある。岸見一郎氏のところに寄せられる良くある誤解は、次のようなものが挙げられるようだ。
- 個人に責任を負わせる自己責任論である
- 誰でも何でも成し遂げられるなんて大嘘
- 人生は思いのままになるというポジティブ思考
- 理想論であって実践的でない
- 常識の操り言に過ぎない
岸見氏の反論は本文を読んでもらうことにして、私に言わせれば、それらの誤解は全てだが、「そんな意味でアドラーは言っていないでしょ」ということに尽きる。独りよがりの断片的理解でなく、師につき、じっくり読むことが必要だ。
そのような無理解と併せて、悪用も戒めている。私自身もアドラー思想の理解不十分な状態で、子達に操作の道具として悪用していた覚えはある。だからアドラーキッズに育てられなくて反省である(共同体感覚は共有したかった)。
そして、正しく理解するための方法として、対話形式、悩み相談、原著に立ち還るの3つあるとして、この本はその3番目のアプローチであるとの位置付けだ。
アドラーは自由意志をめぐり、自分が自分の運命の主人公であると考える。人間を非合理な存在とみるか、わかっていないだけなので理を尽くせばわかるはずと考えるか、アドラーは後者の立場である。私はその域まで到達できずにギブアップ、非合理でわからない人はいると、自らの力量不足もあろうが努力を見切り切り捨ててしまいがちな傾向にあった。人間がまだまだできていないという証だろう。
それはともかく、私がこの64年以上生きたで読んだ中でベストのおすすめ本は、やはり下記の「嫌われる勇気」である。今回のブログタイトルにしている本より、アドラー心理学の考え方を知りたい人には、まずこちらからお勧めしたい。